住所・氏名変更登記が義務化されました!
「引っ越しをしたけれど、不動産の登記はそのまま…。」
「結婚して名字が変わったけれど、不動産については、登記名義を変更していない。」
これまで、不動産の名義人の住所や氏名の変更登記は、売却やローン完済などのタイミングで「まとめて行う」のが一般的であり、放置されがちでした。しかし、いよいよ令和8年(2026年)4月からルールが大きく変わり、住所・氏名の変更登記が「義務化」されます。
「いつかやればいい」と放置していると、将来的にペナルティーの対象になるかもしれませんので、大切なポイントを確認しておきましょう。
なぜ義務化されるのか? ~相続登記は既に義務化されています~
最近、大きな社会問題となっているのが「所有者不明土地」です。
不動産の所有者の住所や氏名が変わっているのにもかかわらず、不動産の登記の内容が更新されないことで、「誰の土地かわからない」、「連絡がつかない」ため、公共事業や災害復興の妨げになっています。これを解消するために法律(不動産登記法)が改正されました。
なお、不動産の所有者に相続が発生しているのにもかかわらず、不動産の登記の内容が更新されない場合も「所有者不明土地」になってしまいます。この相続登記については、すでに義務化されております。詳細はこちらのコラムを参照ください。
住所・氏名変更登記義務化のこれだけは知っておいてほしい「4つの重要ポイント」
1.期限は「2年以内」
引っ越しで住所が変わった日、または結婚などで氏名が変わった日から2年以内に変更登記を申請しなければなりません(不動産登記法第76条の5)。
なお、上記のとおり、相続登記の義務化については、不動産を相続で取得したことを知った日から原則、3年以内に相続登記をする必要があります(不動産登記法第76条の2)。期限が異なりますのでご注意ください。
2.「氏名の変更」も対象
住所だけでなく、ご結婚、離婚などで氏名が変わった場合も義務化の対象となります。「旧姓のまま放置している」というケースはそこまで多くはない印象を受けますが、注意が必要です。
3.過去の変更分も対象となります!
令和8年(2026年)4月より前に変更があった場合にも、原則として施行日から2年以内にその変更を登記をする必要があります。「制度が始まる前の引っ越しや改姓だから大丈夫」……ではありませんのでご注意を。
4.正当な理由なく放置すると「5万円以下の過料」の可能性
正当な理由なく期限内に申請を怠った場合、5万円以下の過料(行政罰)が科される可能性があります。
「売る時でいいや」が通用しなくなります!
繰り返しになりますが、これまでは「家を売る時にやればいい」や、「ローンを完済して抵当権を消す時にまとめてやればいい」と考えるのが一般的でした。しかし、上記のとおり、2年以内という期限もありますので、これからは「氏名や住所が変わったらすぐに登記もする」というのがこれからのスタンダードになろうかと思います。
なお、住所の変更について、「住民票を移せば自動的で登記も変わるのでは?」と思われる方が多いのですが、自動的に(正確には、法務局の登記官の職権で)変えたい場合は、以下の「スマート変更登記」を利用する必要があります。
自動で変わるようにするためには? ~スマート変更登記の利用が必要~
この住所・氏名変更登記の義務化に合わせ、法務局が住基ネットから情報を取得し、法務局の登記官が職権で変更登記を行う「スマート変更登記」の運用も令和8年(2026年)4月1日始まりました。
ここで注意が必要なのは「住民票を移す等して、ただ待っていれば自動で変わるわけではない」という点です。
・「検索用情報申出」が必要
スマート変更登記の詳細については、割愛しますが、スマート変更登記の利用するためには、あらかじめ法務局に対して「検索用情報申出(氏名や生年月日などの情報を提供する手続き)」を行う必要があります。この申出をしていない不動産については、自動で変更されることはありません。
・「本人の意向確認」も必要
検索用情報申出を行い、法務局が住基ネットで住所・氏名の変更を確認した後も、すぐに変更登記がされるわけではありません。法務局から本人に対してメール又は書面にて通知が送られてきて、この通知に対して本人が「了解」をしなければなりません。
相続が発生した場合に、相続財産から漏れてしまう可能性も! ~住所・氏名の変更登記は、お早めに登記のプロである司法書士へ~
「住所や氏名の変更登記手続きくらい自分でできるだろう。」と思われがちですが、実はそう簡単にはいかない場合も多いです。住所の変更については、何度も引っ越しを重ねている場合等、役所での書類保存期間が過ぎてしまい、証明書が発行できなくなるケースがあります。その場合、通常とは異なる書類が必要になります。
また、住所・氏名の変更登記をおろそかにしていると、相続が発生した場合に、相続財産から漏れてしまう可能性もあります。
一度でも引っ越しをした方、結婚して名字が変わったが、不動産の名義は旧姓のままという方、転勤が多い方は、一度、所有する不動産の登記事項証明書を取得してみて、登記の内容を確認してみることをお勧めします。
住所・氏名変更登記のご相談やその他登記に関するご相談等は、下記のお問い合わせフォームよりお問い合わせください。
著者:代表司法書士 佐々木 翔
東京都世田谷区南烏山4丁目3番8号マノアール世田谷301
司法書士あおぞら法務事務所

