【令和8年(2026年)2月2日から】土日や祝日、「1月1日」を会社等の設立日とすることが可能に! ~行政機関の休日を「会社等の成立の年月日」とする特例制度の解説~

制度創設の背景

 会社等の成立日は「設立の登記をした日(登記申請の受付日)」とされており(会社法第49条等)、登記の申請日=設立日(会社成立の年月日)となります。従来、法務局の閉庁日である土日や祝日は、登記申請の受付ができず、会社等の成立の年月日とすることが不可能でした。 

 そのため、会社等の設立をお考えの方から、設立日を「自分の誕生日」、「記念日」、「4月1日」というご相談を頂いてきましたが、これまでは、当該設立希望日が、土日、祝日にあたる場合は、希望日をずらして設立をケースも少なくありませんでした。 

 しかし、設立当初から事業年度の開始日を4月1日にすることを目的として土日や祝日等の行政機関の休日であっても会社等の成立の年月日とできるようにしてほしいとの要望が多く寄せられたことから(令和8年1月21日付法務省民商第9号法務省民事局長通達第1)、今回の改正(令和8年法務省令第2号)により、設立の登記の特例(以下、「本特例」といいます。)を設けるというかたちで、商業登記規則に第35条の4が新設されました。

 これにより、土日や祝日を会社成立の年月日とすることが可能となりました。

土日や祝日、「1月1日」を会社等の設立日とするための要件

①登記が成立の要件となる会社等であること。

②設立の登記の際に本特例を求める旨及びその求める登記の日(以下「指定登記日」といいます。)を申請書に記載すること。

③指定登記日が行政機関の休日であること。

④指定登記日の直前の開庁日に申請をすること。(オンラインや郵送により申請を行う場合においても、当該申請が開庁時間内に到達し、指定登記日の直前の開庁日の日付で受付がされること。)

以下、詳細を見ていきます。

『登記が成立の要件となる会社等であること』について

 対象となる登記は、その登記が会社の成立要件となる設立の登記に限定されております。対象・対象外の例は以下のとおりです。

 対象

 株式会社、合同会社、一般社団法人などの通常の設立登記

 登記が成立要件となる会社の新設合併・新設分割・株式移転による設立登記

 対象外

 株式会社及び持分会社の組織変更による設立登記、持分会社の種類の変更による設立登記、特例有限会社の商号変更による株式会社の設立登記など

 商業登記規則第35条の4により、株式会社及び持分会社の組織変更による設立登記、持分会社の種類の変更による設立登記は対象外とされております。なお、特例有限会社の商号変更による株式会社の設立について、設立登記の申請が商号変更の効力発生要件とされていますが(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下、「整備法」といいます。)第45条第2項、同法第46条参照)、本特例の対象外とされていることに注意が必要です(令和8年1月21日付法務省民商第9号法務省民事局長通達第2、1(2))。

『設立の登記の際に本特例を求める旨及び指定登記日を申請書に記載すること』について

 書面による申請のときは当該申請書の余白に、オンラインによる申請のときは「その他の申請書記載事項」欄に、登記の年月日は登記すべき事項の「会社成立の年月日」に記載した日付のとおりとすることを求める旨を記載し、かつ、「登記すべき事項」欄に記載する「会社成立の年月日」に指定登記日を記載する必要があります。具体的には、法務省のホームページにある『設立の登記の申請の特例の求めの記載例』のPDFがわかりやすいです。

『設立の登記の申請の特例の求めの記載例』の抜粋

               株式会社設立登記申請書
フリガナ      ○○ショウジ

1.商 号        〇〇商事株式会社
1.本 店        ○県〇市〇町〇丁目〇番〇号
1.登記の事由     令和〇年〇月〇日発起設立の手続終了 ※この日付けは申請日以前になります。
1.登記すべき事項   「商号」○○商事株式会社
            ~省略~
            「会社成立の年月日」令和〇年〇月〇日 ※法人の場合は「法人成立の年月日」となります。

            ~省略~

             上 記 の と お り 、 登 記 の 申 請 を し ま す 。

             なお、登記の年月日は、登記すべき事項の「会社成立の年月日」に記載した日付のとおりとすることを求めます。

            ~以下省略~

『指定登記日が行政機関の休日であること』について

 行政機関の休日は、『行政機関の休日に関する法律』という法律で定められており、具体的には以下の日です。

 ①日曜日及び土曜日
 ②国民の祝日に関する法律に規定する日
 ③12月29日から翌年の1月3日までの日

 つまり、土日、祝日、年末年始を指定登記日とすることができます。従来不可能であった、1月1日を会社成立の年月日とすることも可能です。

『指定登記日の直前の開庁日に申請をすること』について 

 イメージをしやすいように具体例を交えて説明致します。

 ①令和8年3月1日(日)を指定登記日とする場合

  ⇒令和8年2月27日(金)に登記申請をすることが必要になります。

 ②令和8年2月23日(月・祝日)を指定日とする場合

  ⇒令和8年2月20日(金)に登記申請をすることが必要になります。

   ※令和8年2月20日(金)に登記申請した場合は、令和8年2月21日(土)、令和8年2月22日(日)、令和8年2月23日(月・祝日)のそのうちいずれか1日を指定登記日とできます(商業登記規則第35条の4)。

 また、指定登記日の直前の登記所開庁日に受付がされる必要があるため、開庁時間外に受付される場合は適用の対象外となります。つまり、令和8年3月1日(日)を指定登記日とする場合、オンライン申請で同年2月 27 日(金)の受付時間外(午後5時15分以降)に設立登記を申請したとしても、本特例の適用を受けることができません。

 郵送申請での申請も上記の要件を満たせば、特例の対象になりますが、本特例の適用を受けるためには、指定登記日の直前の登記所開庁日(開庁時間内)に当該郵便物が到着し、当該開庁日の日付で受付がされる必要がありますので、注意が必要です。

 また、設立登記の申請にかかる添付書面については、登記の申請日までに作成されたものでなければなりません。指定登記日までに作成されていればいいものではないので注意が必要です。

(参考:日本司法書士連合会編『行政機関の休日における設立登記の特例に関するQ&A』)

土日や祝日、「1月1日」を会社等の設立日としたい場合はスケジュール管理が大事 ~戦略的な設立日選定のために~

 土日や祝日、「1月1日」を会社等の設立日とする場合は、上記の条件を全て満たす必要があります。昨今、ご自身で、設立登記を申請する方もおられますが、司法書士に相談し、確実に希望日を会社成立の年月日と登記できるようにすることをお勧めします。

 また、登記が成立要件となる会社の新設合併・新設分割・株式移転による設立も本特例の対象となるため、土日・祝日に影響されない組織再編スケジュールを組むことが可能となりました。

 一方、組織再編においては、債権者保護手続きがあります(例外もありますが今回は割愛します。)。上記のとおり、設立登記の申請にかかる添付書面については、登記の申請日までに作成されたものでなければならないとされておりますので、当然、債権者保護手続きも完了していることが必要となります。

 当事務所は、戦略的な設立日の選定のために組織再編の際にはスケジュールを作成し、手続きに支障がないかサポートを致します。単なる登記手続の代行に留まらない、総合的リーガルコンサルティングサービスを日々提供しております。

土日や祝日、「1月1日」を会社等の設立日としたい場合は、当事務所までご相談を

 従来できなかった、土日や祝日、「1月1日」を会社等の設立日が可能となりましたが、上記の条件を満たす必要があります。会社等成立の年月日は、登記記録に永遠に残りますし、後で変更すること不可能です。希望の日を会社等の成立年月日にしたいという場合は、司法書士へ相談することを強くお勧めします。設立に関するご相談は下記のお問い合わせフォームよりご連絡ください。

(参考:法務省ホームページ『休日を会社等の設立の日とすることが可能になりました』

著者:代表司法書士 佐々木 翔


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司法書士あおぞら法務事務所