「うちは揉めない」という誤解 ―― 紛争は遺産の額が1000万円以下でも起きている
令和5年度司法統計によりますと、相続人間で遺産分割がまとまらず、裁判所に持ち込まれた遺産分割事件において、遺産の額が1000万以下のケースが約33%となっています。(最高裁判所事務総局 令和5年司法統計年報 3 家事事件 66頁)
このように紛争は遺産の額が1000万円以下でも起きているため、 「うちは財産が多くないから大丈夫」という考えは、非常に危険です。
遺産が限られているからこそ、分け方を巡って紛争に発展しやすいのではないかと思慮します。
「子供がいないご夫婦」は、今すぐ遺言を!
相続で揉める場合で一番多い事例は、やはり、子供がいないご夫婦の場合です。これは、通常、ご夫婦の親は、すでに他界していることが多く、その場合、亡くなった配偶者の兄弟姉妹に相続する権利が発生するからです。兄弟姉妹が他界している場合は、甥・姪が相続人となりますが、今回は兄弟姉妹が存命であるとして進めます。
亡くなった配偶者の兄弟姉妹がでてくると多くの場合は、遺産分割が難航します。このような事態を防ぐには遺言を作成しておくことです。
子供がいないご夫婦の場合、相続人は「配偶者」と「亡くなった方の兄弟姉妹」となります。兄弟姉妹には、最低限の取り分である「遺留分」が認められていません(民法第1042条第1項)。つまり、「全ての財産を妻(または夫)に相続させる」という遺言があるだけで、配偶者は亡くなった方の兄弟姉妹との遺産分割協議を行うことなく、速やかに全ての財産を承継できるのです。このたった一行が、残された配偶者の生活基盤を守ることになります。
また、「どちらが先に亡くなるか」は予測できません。だからこそ、ご夫婦お二人ともが遺言を作成しておくことをおすすめします。
遺言には自筆証書遺言、公正証書遺言があり、自筆証書遺言には形式要件もあります。難しいと思いますので、当事務所で作成をお手伝いを致します。
財産のことは、あなたが一番わかっているはず
また、「全ての財産を妻(または夫)に相続させる」という遺言を作成しても、財産は何か?どこにあるのか?等が残された方にわからないと残された方は困ります。遺言にはきちんと、財産を記載しておきましょう。亡くなった後、残された方は、財産を調査し相続手続きをしなければなりません。
遺言は「生前の整理」という意味合いもあり、自分の総財産を確認するきっかけになります。プラスの財産だけでなく、マイナスの財産についても確認しましょう。
マイナスの財産については、サブスクといった毎月支払いをしているサービスについても漏れのないように確認することが重要です。もし、使っていないサービス等があれば、この際解約してしまうということもできます。
また、財産を整理し、遺言に記載しておくと残された方の「死後の事務負担軽減」にもなります。遺言がない場合、相続人はゼロから「財産調査」を行わなければなりません。これは、とても大変な作業になります。
「面倒くさいから」と先延ばしにすると、その「面倒」はすべて、悲しみの中にいるご家族が背負うことになります。自分の財産を一番知っているのは、あなた自身です。
当事務所では遺言作成にあたりプラスの財産、マイナスの財産の確認についてももお手伝い致します。
遺言より気軽に書けるエンディングノート
遺言の作成の必要性を感じているのに実際に遺言を作成する方は少数派のように思慮致します。遺言を作成することに抵抗がある方は、まずは、エンディングノートを作成することから始めてみてはいかがでしょうか。エンディングノートは、書店や大手100円均一ショップでも手に入ります。インターネット上からダウンロードできるサイトもあります。遺言よりも手軽に作成できるのでお勧めします。
遺言についてのご相談を承っております。
「遺言は書いた方がいいと感じているがなかなか始められない」「何から始めればいいのかわからない」という方が多いかと存じますが、当事務所で遺言作成をお手伝いした方は、ほとんどがそのような状態からでした。遺言についてのご相談は、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
著者:代表司法書士 佐々木 翔
東京都世田谷区南烏山4丁目3番8号マノアール世田谷301
司法書士あおぞら法務事務所

